2022/06/19 13:48
Tシャツやデニム、浴衣、布団などなど、木綿の製品は身のまわりにいろいろあります。私たちの生活にはなくてはならないものの1つです。木綿は植物の繊維だということは当たり前のように知られているのですが、意外と実感を伴っていないと思いませんか?
というのも、時々糸紡ぎのワークショップや体験会などをする時に綿の説明をするのですが、枝についたままの棉の実を見ていただくと、「ワタってこんな風になってるんだ~。」という声をよく聞くからです。それもそのはず。日本では、身近に棉の畑を目にすることはまずないから。こんなに使っているのに、日本の綿の自給率はほぼ0%だそうです。全国に、作っている人はいるのですが、消費する量からしたらわずかな量なのでしょうか。
そんな棉ですが、自宅で、プランターなどでも栽培することができます。
5月ごろに種を蒔くと、夏には黄色い花を、秋にはホワホワの実を楽しむことができます。
棉の実のほわほわの繊維の中には、種が入っています。
これを手で取るのは結構大変なので、専用の道具があります。
こうやって種を取って、そのあとごみを取り除いたり、繊維の固まっているところをほぐし(綿打ち)、やっと綿として使えるようになるのです。布にしようと思ったら、このあと糸を紡いで、ものによっては染めて、そして織る作業が続きます。なかなか長い道のりです。
昔の人は大変だったなあ、今は服でも布団でもお店で買えるから便利で良かったなあと思うわけですが、物を作る人間は、時として、日本で育った綿で織物をしたい、などど思ってしまうのです。
私の母がそういう人で、日本の綿で織物がしたいとある時に思い立ったらしいのですが、30年以上前の当時は手に入れることが難しかったようです。今ならインターネットで和棉の栽培をしていらっしゃるところも比較的簡単にさがすことができます。
母は、和棉を栽培しようとしているグループに参加したり、結局自ら栽培することにして畑のできるところに移り住んだりして、棉畑をやりながら作品作りを続けていました。今は、自分では棉畑はやっていませんが、プランターで栽培して種をつなぎつつ、畑を持っている友人知人に綿を育ててもらうことも。いずれ、身近なところで、材料として十分な和棉が手に入るようになるといいな、と思っています。
今年も5月に和棉の種を蒔きました。
今は10㎝くらいの大きさまで育っています。梅雨が明けるとぐっと大きく伸びてきて、夏には黄色い花が咲くでしょう。綿は食べることはできないけれど、使うことができる植物として、育ててみると結構面白いものです。うちには、種を取る道具や、綿打ちをする道具、糸を紡ぐ道具などがあるので、綿の楽しみを伝えることも活動の一環として続けていきたいと思っています。
そして、数はあまりできませんが、育てた和棉を使った作品や、糸紡ぎ機などの綿を楽しめる道具の販売もできたらいいな、と思っています。追々の話です。