春めいてきました。種まきに向けて棉の種取り。 | ハンサムなマフラーの店  草木の色と水の彩

2022/03/08 10:42

3月に入って、暖かい日が多くなってきました。三寒四温。季節は春へと移っていきます。


そろそろ棉(わた)の種を蒔く準備。棉の実から種を外していきます。






我が家では毎年プランターでささやかに和棉の種を蒔いて育てています。

綿は、もともと暖かい地域の植物なので、日本では冬を越さないと言われています。そのため、春に種を蒔いて秋に収穫するサイクルで栽培されています。

また、棉の種は古くなると発芽率がぐっと落ちるので、種を維持するためもあって毎年育てていました。

5月になって十分気温が上がってから種まきをします。まだ肌寒い時に蒔くと芽がでません。
梅雨が明けるとぐんぐん伸びて、夏の始まる頃に黄色いオクラに似た花を咲かせます。
花もきれいなので、夏の間、次々に咲く花を楽しむことができます。



夏の終わりになると、花の後に実が付きます。だんだん大きくなって胡桃くらいの大きさになった実は、乾燥してはじけます。すると中からホワホワの綿の繊維が顔を出すのです。







元々は大陸から渡ってきた棉という植物ですが、雨の多い日本の気候に合わせて進化し、下向きに実が付くようになったともいわれています。今はあまり見られなくなりましたが、日本で育てられてきた棉を和棉と呼んで、上向きに実が付く海外の棉と区別しています。

以前、母が、日本の綿で織物をしたいということで、縁をつないで、茨城県の方で畑で棉を作っていました。今は、そのころ収穫した綿を大事に使いながら織物をしています。特に認証を取ったりしているわけではありませんが、無農薬栽培で手をかけて育てた綿です。

今も、和棉を育てていることから、グリーンフェアのようなイベントに呼んでいただいたり、古い道具を使った綿仕事のワークショップを開くこともあります。棉を育てて、収穫して、種を取って、糸にして、布を織るということは、ものすごく気の長い作業になります。今時のスピード感から考えると、別次元の話のように感じます。

それでも、イベントやワークショップなどをすると、糸ってこうやってできるんだ、初めて見た、など驚いたり、感動してくださる方もたくさんいらっしゃいます。コットン100%の服や布など、身近に使っているものが、綿という植物からできているということが実感できて面白い体験になるようです。

物語に出てくる糸車だよね。ファンタジーの世界だね。と言われることもあります。

その言葉を聞くと、時間と手間をかけて自分の暮らしにあったものを作るというのも、物語の中の人のようで素敵な暮らし方に思えます。

今は昔と違って手軽に素敵なファッションを楽しむことができるようになりました。
昔ながらの方法は、それをしなければならないとなると本当に大変で、どちらかというと苦労の多い嫌な仕事かもしれません。
昔のお母さんたちはさぞかし大変だったことでしょう。

でも、今は逆に、時間をかけて物を生み出すその工程の1つ1つに癒されることがあります。
癒しの理由は、単調な作業に集中する時間かもしれないし、植物の恵みをいただいて自分の身の回りのものを作るという実感かもしれないし、すぐに結果の出ないことを積み重ねながらゆっくりと流れる時間かもしれません。

コロナの影響でイベントがなかなか開けない状況が続いています。今年もグリーンフェアやワークショップの方はどうなるか未定です。
ただ、和棉は、栽培したいと言っておられる農家の方に種をお分けしたので、秋の収穫が楽しみです。もしつつがなく収穫できたら、その綿を使わせていただいてマフラーにできたらいいなと思っています。

和棉のおかげでつながっていくご縁に感謝。これまでも、そしてこれからも。