2021/12/16 01:03
前回に続いて草木染めのことを少し紹介したいと思います。
草木染めとは言うけれど、実際にどのようにして染めているのか、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。商品の紹介などでもたびたび草木染という言葉を使いますので、一度簡単にまとめてみます。
草木染めというのは、化学染料に対して、天然の染料を用いて染める染色方法です。主に植物の葉、根、枝、実、時には昆虫を使う場合もあります。
ここで、桜の枝を例に、簡単にではありますが、草木染めの工程
枝はチップ状にして、色を抽出しやすくします。手作業なので、なかなか大変です。
細かくした枝を鍋に入れ、ひたひたの水を加えて煮出す。上の写真は、樹皮の部分だけ分けたもの。
枝を煮出した液体をさらしを敷いたザルで漉し、枝を取り除く。
枝を取り除いた液体に、あらかじめ水に漬けて置いた糸を入れて20分ほど煮る。乾いた糸を入れると色がムラになってしまうので注意。ほしい色の濃さになるまで、以上の工程を繰り返すこともある。
その後、ミョウバン、鉄などで媒染する。媒染は、染めた色を糸に定着させたり、化学反応によって色を変化させたりするために行うもの。鉄は黒っぽくなるので、グレーが欲しい時によく使う。
20分くらい媒染液に浸けたあと水洗いして、先ほど煮た染液にもう一度入れて煮込む。20分ほど煮たら染液に付けたまま一晩おく。そして水洗いして干して完成。
写真は、木綿の糸を使った時のもの。木綿は一般的に染まりにくいと言われている。ウールやシルクは同じように染めてももっと濃い色に染まる。木綿は、大豆をすりつぶした呉汁で下処理をすると色が染まりやすくなる。草木染で染めた糸と、下のブルーの糸は藍染。以前、自宅で染めたこともあったが、今は藍染屋さんにお願いして染めてもらっている。
そうやって染めたいろいろな色の糸を組み合わせて、マフラーや小物を作っています。
染色に使う植物は、薬草になるものも多く、身に着けるものではあるけれども身体によさそうな気がします。
色合いも、どこか自然を感じる優しい雰囲気で、私はなんとなく癒しを感じます。折に触れて、制作の様子などもお伝えしていこうと思いますので、そういう過程もよろしければ一緒にお楽しみいただければと思います。