輝く藍色。暮らしの中で楽しむジャパンブルー。  藍染め糸のこと。 | ハンサムなマフラーの店  草木の色と水の彩

2021/03/24 17:40

 こんにちは。
 連日の暖かさで、桜の花がだいぶ開いてきました。

 先日は桜の木で草木染めをした様子を少しご紹介しましたが、その糸を使って作る予定のマフラーに欠かせないのが藍染めの糸です。

 これまでいろいろな藍色のものを作ってきました。ブックカバー、敷物、袋類、マフラーなどなど。ものにより、本藍染めのもの、インド藍染めのもの、紺色の糸を買ってきて使っているものなどいろいろですが、今回は藍染め糸について、商品説明に書ききれないことを少しお話ししたいと思います。

 私がこどものころ、母は自宅で藍をたてていたことがあります。そのころ集合住宅に住んでいたのですが、そのベランダで、大きな蓋つきのポリバケツで藍を育てていました。その独特の発酵するときの香りがこどものころは苦手だったのですが(蓋をしてある時は大丈夫ですが…)、初めて藍をたてた時にことのほかうまくいったらしく、私の中では、母がベランダで藍染をしていたなあという記憶が残っています。それが、うまくいったのは最初だけで、その後何回か挑戦したらしいのですがどうもうまくいきませんでした。ビギナーズラック?だったのでしょうか。何がよかったのかは母本人もよくわからないそうです。

 その後は、藍染屋さんにお願いしていたのですが、次第に廃業されたり、市などが保存する形で存続はしているけれどもお仕事としては縮小されたりと、お願いできるところが少なくなってきてしまいました。

 私は結婚を機に関西に住んでおり、母も3年ほど前に関東から関西に引っ越して来たのですが、最近になって、こちらで新たに藍染屋さんを探そうということになって伺ったのが、滋賀県で江戸時代から続く紺喜染織さんでした。

 上の写真の糸が紺喜染織さんで染めていただいたものです。
 染め上がってきた糸を見た時、まず率直に、すごくきれい!と思いました。

           

 紺喜染織さんは江戸時代から続く藍染屋さんです。昔ながらの建物も趣深く素敵なのですが、母と初めて訪れた時には、突然伺ったにもかかわらずご主人と奥様が藍染のことをいろいろと説明してくださって、奥の藍染めの瓶が並ぶ作業場も案内してくださいました。

 紺喜さんから染め上がってきた糸を見た時、糸の青が輝いて見えました。これまで、母が使っている糸をいろいろ見てきたと思うのですが、藍染の糸をこんなに「美しい」と感じたのは実は初めてでした。(それまであまり意識したことがなかっただけなのかもしれませんが。)

 この糸から作る草木染めと藍染の糸を使ったコットンのマフラーは、私がとても好きな作品の一つです。母は、デザインや素材を変えながら長い間作り続けています。私が使っているものは、20年以上使い続けているものもあります。暑い時も肌寒い時も何かと使いやすくて重宝なのですが、チェック柄というのが、糸の段階で染めてから織る方法でないとできないので、意外と他で見ないデザインなのです。普段シンプルな服装が多いので、マフラーをアクセントにしています。(下の写真は私物です。20年来のものとは別ですが、最近よく使っているものです。)

 この時は、母が作品展のために用意した糸だったのですが、少し使わせてもらって自分用のものを一枚だけ織りました。

 母のものに比べてデザインが単調です。同じ機に同じように糸をかけて織っていても、母が織ると柔らかくふっくらと仕上がりますが、自分で織ると触った感じが違うのがわかります。

 そういうわけで、織りに関しては私はまだまだ修行中。母が元気なうちにいろいろ教えてもらいながら、少しでも上手に織れるようになりたいと思っています。今のところ、こちらで手織布商品として販売しているものは母の織ったものだけです。私は縫製や仕上げ、その他もろもろを担当しています。
 
 織機にかけた時に、縦糸の端の部分はどうしても布にできない部分が残り糸として出てしまいます。普段、母は、残り糸をつないでまた一本の糸にして、それを使って布を織ったりするのですが、糸自体がとてもきれいだと思ったので、アクセサリーにしてみようと思いました。


 
 一番濃い藍色が「納戸」、中間の明るいブルーが「浅葱」、一番明るい水色が「かめのぞき」という色の名前が付いています。色の違いを楽しんでいただけるようなブローチや、タッセルイヤリング・ピアスなど、デザインを研究しつつ作っています。

 あくまでも残り糸の有効利用なので、ある分だけしか作れません。アクセサリーだけのために糸を染めに出すことは多分しないと思います。布を織るときのいろいろな過程があり、糸そのものにも実はひそかに物語があるので、残り糸や布端も私にとっては愛おしいものです。できるだけ無駄にすることなく、使い切りたいと思っています。それと同時に、その糸や布を気楽に楽しんでいただく形の一つとしてお届けできたら嬉しいな、と思っています。

 藍染屋さんを見学させていただいた時に、藍の瓶にかぶせる笠のような蓋を作る職人さんがもういなくなったという話を伺いました。母と話していても、それまでお願いしてた藍染屋さんがお辞めになったり、糸を作る方がいなくなってもう手に入らない糸があったり、今までよく購入させていただいていた糸屋さんも廃業されたりと、気に入って使っていたものが手に入らなくなる、手に入りにくくなるということを最近頻繁に耳にするようになりました。

 藍染めの糸だけでなく、そういう手に入りにくくなった糸たちも、織れるものは織り、織るほど残っていないものはアクセサリーにするなどして、大切に使い切っていきたいと思っています。

 いつも在庫があるものではありませんが、糸の可能性を求めていろいろと試行錯誤しながらも楽しんで作っておりますので、ご縁がありましたらお楽しみいただけたらと思います。