2021/03/22 12:29

 こんにちは。

 
 家の近くでも桜がちらほらと咲いてきました。
 今年もお花見は近所のお散歩コース。小学校や川沿いの小道に足を延ばそうと思っています。

 そろそろ桜の季節だなあ、と思っていたら、ご縁があって桜の枝をいただくことができました。願うと叶うというのはこのことか、ちょうど少し前に母と桜の枝が欲しいねという話をしていたところだったので、なんと嬉しいタイミング。訳あって切らなければいけない枝を処分するところでGetすることができました。ほしいものは一応口に出して言っておくものだなあと思いました。
 
 枝につぼみが付いていたので水に差しておいたら、数日して花が開きました。種類まではわかりませんが、ソメイヨシノより花の色が濃い気がします。おかげで一足早くお花見ができました。

 


 いただいた枝を、まずは細かく削ります。花を咲かせる直前に切られることになった木なので、草木染めの材料としてしっかり活かせていただけるように、そして、きれいな色が出ますように、削りながら自然と願うような気持になりました。

 削った木のチップを大きいお鍋で煮出して、チップを取り除いた煮汁に糸を付けて再度火にかけます。そしてそのあとミョウバンで媒染して、さらにまた煮汁に一晩漬ける・・・。という感じで何度も煮る作業を繰り返します。その一連の作業を目指す色の濃さになるまで何度か繰り返すことになります。 
        

 今回は、枝全部を合わせたものと、樹皮だけを分けて別々に染めてみました。木綿のマフラーに使いたかったのでそれ用の糸と、絹のほうが色がよく染まるということで、今あまり手に入らなくなってしまった水引き真綿という糸と、着物用の手紬糸も一緒に染めてみました。染め上がったものが下の写真です。

 木綿は染まりにくいということもあり、淡い色合いですが、左が枝全体を使ったもの、真ん中が樹皮だけを使ったもの、そしてその右側が着物用の手紬糸、右端が水引真綿です。桜はちょっと赤みがかったベージュに染まるイメージです。左端は結構黄色っぽく染まりました。

 同じ材料を使っても、その木や草が生えていた土地や採取した季節によっても出てくる色が違ってきます。同じ色が欲しくて、あの材料を、と思って探し求めても、必ずしも同じ色が出なかったりします。商品として同じものを作らないといけないとしたら大変なことですが、それが面白いと思って、一期一会の色との出会いを楽しみたいと思っています。

 商品の説明には書ききれないこともありますが、ブログやインスタグラムなどを使って、作る過程やエピソードをお伝えできたらいいなと思っています。

 今回染めた糸は、さらに、桜を媒染剤を変えて違う色に染める糸と、藍染の糸をあわせて、マフラーやショールを織ろうと思っています。今販売しているものはすべて母が織ったもので、私は縫製とその他もろもろの担当ですが、今回は私が織る予定でいます。母にいろいろ教わっている状態なので、まだ自分の織ったものは販売していないのですが、近い将来の目標にしつつ、いろいろと作っていきたいと思います。

 なかなか家で織物をしている人は少ないと思うし、道具もいろいろあるし、こどものころから母に付き合っていろいろなことをしてきたので、そういうことを少しずつ紹介して、興味のある方に一緒に楽しんでいただけたら嬉しいと思っています。

 最後に、この同じ糸を使った商品を紹介させていただきます(今回染めたものではありませんが)。藍染めの糸は、江戸時代から続く藍染屋さんにお願いいして染めていただいています。初めてこちらで染めていただいた糸を見た時、本当に色が美しいと思いました。手間がかかる草木染めや藍染の糸を使って糸から一枚一枚手織して作りますので、少しずつしかできませんが、そして、全く同じものはほとんど作ることがありませんが、一緒に楽しんでいただけたら嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします。